シェア住居における国際交流
東京周辺における現在のシェア住居の起源を辿ると、いわゆる“外国人ハウス”に辿り着きます。
「シェア住居の歴史」に示されるような時代の変遷と様々な経緯の中でシェア住居は日本人の社会人ニーズを捉えてゆく現在の姿へと変化してきましたが、依然として身元のしっかりとした外国人の入居に対しては寛容な文化が引き継がれています。
これは単に歴史的な経緯によるだけでなく、シェア住居という場を志向する運営事業者、入居者双方に「自分と異なる存在」との出会いを期待する基本的な姿勢が存在する事の延長線上にある、必然的な特性なのかもしれません。
話さずとも察するべき、といった日本的前提の通用しない外国人入居者の存在は、日本人入居者にシェア住居内で活発なコミュニケーションを図ってゆく必然性を与える効果があるようにも感じられます。
いずれにせよシェア住居には現在でも数多くの外国人入居者が生活しており、シェア住居特有のコミュニケーションを醸成する枠組みの中で、ごく自然に日本人入居者との交流が生まれています。
下に示すグラフを見る限り、シェア住居の日本人入居者の多くは「国際交流」というテーマに対して一般認識以上の特別な意識を持っているというわけではないようです。
にも関わらず、そこにごく自然な日常の交流が存在しているという事実は、シェア住居という枠組みだからこそ実現される、稀有な社会的機能が存在する事を感じさせます。
外国人入居者に対する寛容な文化を持ち、なおかつ入居者同士の交流を自然に醸成してゆく特性を持つシェア住居は、日本社会が直面する国際化という大きな課題をソフトランディングさせてゆくための、重要な役割を担いうる可能性を秘めているのではないでしょうか。