第1章
2008年度版ダイジェスト

第1章 2008年度版ダイジェスト

■Digest1 シェア住居の増加状況

2007年末に実施された調査では、日本人の入居可能なシェア住居の数(≒棟数)は既に400物件を超え、約7000ベッドが提供されている。また、居室種別では拡大部分の多くを個室タイプが占めており、ドミトリー(相部屋)タイプの提供数の伸びは鈍い。

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(3-1-1) シェア住居の物件数・ベッド数増加推移

また、シェア住居のおよそ8割が東京都内で運営されている事が示されている。首都圏以外の地域では、調査時点(2007年12月)では宮城県仙台市の1物件のみとなっている。

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(3-2-1) 地域別に見るシェア住居物件数

神奈川・千葉・埼玉県内には入居可能規模が40~160名といった大型物件が点在しており、単位面積辺りの提供ベッド数の密度が最も高いのは、大型物件が複数運営されている埼玉県蕨市(40.0ベッド/k㎡)となっている。

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(3-1-2) 地図で見る増加状況の変遷

■Digest2 入居者の中心となる社会人層

現在、シェア住居の入居者の約7割は女性となっている。

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(4-1-1) 男女比

また、年齢構成では20代後半の入居者の比率が最も高く、全体の37%を占めている。

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(4-1-2) 年齢構成

今後増えて欲しいシェア住居物件の特色について入居者を対象に行ったアンケートでは、居室の広い物件、キッチンの広い物件といった間取り上のスペックを求める声に次いで、内装デザインの充実を求める声が多い事が分かる。

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(6-3-3) 今後増えて欲しいシェア住居物件の特色

アンケートに回答した入居者の6割以上が、現在のシェア住居への入居以前にも何らかの形でシェア生活を経験している点も示されている。他のシェア住居や国内外でのルームシェア経験者も多く、“シェア住居リピーター”の占める割合が高い事が分かる。

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(5-2-1) 入居以前からのシェア生活経験者比率

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(5-2-2) 過去に経験した事のあるシェア生活スタイルの内訳

尚、シェア住居における外国人入居者の占める割合は全体の3割程度となっている(ただし、外国人入居者専門の物件は調査対象外としている)。

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(9-1-1) 外国人入居者の比率

また、アンケートでは約7割の入居者がシェア住居生活を「とても楽しい/まあまあ楽しい」と回答している。

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(6-1-1) シェア住居生活を楽しい・楽しくないと感じている比率

■Digest3 運営サイドの市場認識

シェア住居の運営事業者の約8割が法人組織であり、残る約2割が個人事業主となっている。

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(7-1-2) 法人形態分布

運営事業者の参入動機としては、市場の成長性や経済性と並び、社会貢献や運営自体の楽しさを挙げる声がほぼ同数程度上がっている事が分かる。

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(7-2-1) シェア住居事業の開始動機

シェア住居事業の拡大・縮小については8割以上の事業者が拡大する考えを持っており、縮小予定と回答した事業者はゼロとなっている。

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(7-2-2) シェア住居事業の拡大/縮小予定

今後注力予定の入居者種別では日本人女性を挙げる回答が4割を超え、最多となっている。これに日本人(男女問わず)の回答数を加えると、日本人入居者を挙げる回答は約8割に達する。ただし、日本人男性を挙げる回答はゼロとなっている。

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(7-2-5) 今後注力予定の入居者種別

今後注力予定の居室タイプでは9割を超える事業者が個室タイプを上げており、ドミトリー(相部屋)タイプを大幅に上回った。また、様々な工夫によりドミトリーのプライバシーを高めたセミプライベートタイプを挙げる回答は2%(実数1)に留まった。

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(7-2-6) 今後注力予定の居室タイプ

さらに、物件作りにおいて重視する事柄として最多の回答を得た項目は「内装デザインの充実」となっており、デザイン物件の供給増に対する関心の高さが伺える。

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(7-2-3) 物件作りにおいて重視する事柄

■Summary

東京都内を中心にシェア住居の増加が著しく、増加している居室の多くは個室タイプである。都外では大型物件が目立ち、埼玉県蕨市のように局地的にシェア住居のベッド数密度が高まっている地域も存在する。

入居者は引き続き日本人女性の比率が最も高く、年齢構成においても20代後半の社会人が最多である。また、全体に占める外国人入居者の割合は3割程度となっている。ただし外国人の入居は特定のシェア住居に集中している場合が多く、そういった物件を除外した場合、さらに比率が下がる事が予想される。入居者アンケートでは約7割の入居者がシェア住居生活を「とても楽しい/まあまあ楽しい」と回答した。

運営事業者の多くはシェア住居事業の拡大意欲を持っており、その主要な入居者として、最も層の厚い日本人女性が想定されている。物件作りにおいては内装デザインを重視する声が最多となっており、デザイン物件の供給増に対する関心が高まっている。