シェア住居の市場は過去数年間、非常に早い速度で変化し、発展を遂げてきました。数年前にポータル事業を開始した当時を振り返ると、この市場の現在のような発展を思い描く当社のビジョンに同意して頂ける方は非常に稀だった事が思い起こされます。
現在、多くの方々がシェア住居という枠組みに内包される様々な可能性や意義について強い思い入れとそれぞれの考えを持ち、ある方は運営事業者として、ある方はいち入居者として、またある方は報道関係者として、大きく変動しつつあるこの市場を前に、その将来がより良く実りあるものとなるよう、活発な取り組みをされています。
数年前と比較すれば急速に拡大したとも言える市場の中で、ある方は「ここまで来ればシェア住居は間違いなく普及するから、もうそんなに心配しなくても大丈夫だよ。」と言い、またある方は「最近シェア住居は増え過ぎた。供給過剰だよ。」と言います。
当社の考えは、勿論シェア住居は普及する、それも現在よりもさらに大きく広がる、というものです。しかし過去数年間の経験から言えば、それはただ自然な成り行きに任せていれば実現するというものでは決して無いはずです。
シェア住居という存在は、我々自身が未だに頻繁に驚かされる程に、様々な突飛な解釈を受けてしまい易い枠組みであるようです。これまでにも、ともすれば本質から外れた様々な誤解を生み、思いも寄らぬ方向性へと成長の軸がブレてしまいそうになる局面を迎え、当社でもその度に基本的な説明を地道に各方面に繰り返して参りました。市場の拡大期には混乱も付きものかと思いますが、それを良い形で乗り越えられるかどうかでその後は大きく変わるのではないでしょうか。
シェア住居も例外ではなく、これから迎える拡大期の様々な誤解や拡大期特有のトラブルを充分な思慮深さを持って乗り越えていく事によって、初めて確立された強い文化として広く定着してゆくのだと思います。そのためにも、当社は今後も市場の最前線で、泥臭く取り組みを続けてゆきたいと思います。
ひつじ不動産事業の最大のゴールの1つは、文化的な背景や意図の外で“ある種”奇跡的に産み落とされたシェア住居という枠組みを、国内において簡単に失われる事の無い、当たり前の文化と言えるレベルにまで普及・定着させる事です。
実は当社のスタッフ全員がなぜこの点についてムキになって取り組んでいるのかと言えば、それはシェア住居という場が抜群に面白く、きちんと残してゆかなければあまりにも勿体無いから、という事に尽きます。
随分と時間と手間の掛かったこのシェア住居白書という取り組みが、今後シェア住居市場が迎える成長期を支えるマスターピースとして活躍してゆく事を、切に願ってやみません。
2008.06.13.